タイ国について
【い】 犬は歩かず 近づく人に 片目あけ


       私の住んでいるアパ−トには、犬が2匹いるがだいたい何時見ても寝て
    いる、また歩道にも犬がよく寝ており、踏みつけそうになったことが何度かある。
    これらの犬は人が近ずいても薄目を開け上目ずかいに見るだけで、また死んだ
    ように寝てしまう。
    とても番犬になるとは思えず、タイの犬は怠けものだと思っていた。
    しかし、2年程前のことだが、日本で飼っていた犬を連れて赴任して来た友人
    がおり、その人に聞いたら日本で走り回っていた犬も、タイではほとんど寝て
    いるそうである。
     したがって怠けものと思ったのは誤解で、犬はただ暑い気候に順応した生活を
    しているだけである。犬から見ると、工業化移転の名目で生活様式を変えない
    日本人は変な動物に見えるかも !!
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【ほ】 星がない 月もぼけてる バンコック

     これは公害の話で、空はかなり汚れているようで、晴れた日でも星は数個しか
    見えない、また月もぼけている。その公害の度合は、「川崎市」が一時騒がれた
    がそれより現在のバンコックの方がひどいそうである。
    ただし3年間暮らしたが鼻毛も多くならないし、ぜんそくも出ないし、この話の
    真実のはどは不明。
     日本の高度成長期と同様にタイ国は「暮しの豊かさ」を求める人々で満ち
    溢れている。その欲求の爆発こそが急速な工業化、高度成長の源泉である。
    したがって、この欲求を押しとどめることは何人にも不可能である。公害の対処
    は工業化や経済の成長を抑えるのではなく、むしろ高成長を維持させ、それに
    よって得られる資金を問題解決に投資するのがベタ−である。とある本に書いて
    あった。
   「現在の日本」ではなく「高度成長期の日本」と比較すれば、それなりに納得できる。
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【ひ】 貧困あれど 飢えはなし

      タイ国は、人間としての生存ないしは生活の基本である衣・食・住が整って
     いる。これは温暖な気候によるところが大きいが、衣も住も簡単なものですむ。
     一年中半袖で過ごせるし、家も暑さと雨が防げれば地震もほとんどないから
     構造的にもそれほどの工夫は要らない。
      食については貧困あれど 飢えはなしといわれるように食料自給率200%
     で、「水あるところ魚がすみ土あるところ米が実る」恵まれた自然環境を持つ。
     したがって日本の歴史に出てくる飢餓に匹敵するものはなく、世界中捜しても
     まれな飢餓の歴史を持たない国だそうである。
     このように衣食住が好ましい状況にあると、極端にいえば一人でも生きて
     行けるわけで、他人にあまり頼る必要はなく、集団を組んで助け合い生きて
     いく必要もない。
      【め】項でふれた個人主義はこの生存環境とも関係していると思われる。
     この生存環境で育ったタイ人から見る日本人の性格は「せっかち」である。
     食事は早メシだし、歩くのもせかせかと歩く、何であんなに早く歩いたり、
     食事をしなければならないか理解できず、日本人の性格は馴染めないそうで
     ある。
     実際にあった話ではないが、もしタイ人に「なぜ会社の中までせかせか
     歩くの」と聞かれたらきっと「小さい時から早く歩くのが習慣になっている」
     と答えると思う。
      同じ様にこんどは日本人から「タイ人はなぜ時間の約束をきちんと守らな
     いか」と聞けばきっと「小さい時からのんびり育ったから」と返事が帰ってくる
     様な気がする。
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【み】 民主主義 血を流して 築かれる

      1991年2月に久しぶりにク−デタ−があった。その1年後の3月に総選挙
     が行われ、そのとき国軍最高司令官であったスチンダ氏が首相に就任した。
     軍部主導型政府に不満をもった民主化推進グル−プによる反政府運動が燃え
     上がり、5月17日〜20日にはスチンダ首相退陣要求のデモ隊と軍隊が衝突し、
     いわゆる「5月流血事件」が発生し、大勢の死傷者を出した。
      5月騒動に関する記事はいろいろ読む機会があったが、下記の記事が印象
     に残っている。
     「日本の歴史を振り返って見ても、戦前の軍部はタイの軍部の様に、力を持ち
     政治に介入しており、その結果、太平洋戦争を引き起こし、何百万人もの
     犠牲者を出し、やっと戦後の民主化が達成されたことを思い起こせば、あの
     程度、の犠牲でタイの民主化が大きく進展したのであるから、タイもたいした国
     だと感じる次第である」。
      なお、デモには数万人の市民が参加したが、NCOTの社員も2名参加し、
    「軍隊に道路を全部封鎖され動きが取れないので会社を休む」という電話連絡が
     あり休んだ。このときは、国の発展のために命を賭けて民主化運動に参加する
     のも、まぁいいじゃないかと思った。また2名とも自分の部下だったこともあり、
     口には出さなかったが自分の所には「芯」のある奴もいると誇りに思ったぐらい
     である。
       ただしその後がいけなかった。6月に入ってから各社でストライキが起き、
     当社も見舞われたが、このとき上記デモに参加したエンジニアは
     大卒者としてはただ一人ストライキ参加した。
     スト集結後もワ−カ−から信頼されると同時に英雄士される傾向にあった。
     彼氏の考えは民主化デモとストライキをミクスしており、タイ国の貧富の差が
     大きいのは社会的問題であり、ストライキによりワ−カ−の生活レベルを向上
     させると意気込んでいた。したがって、私の考えも「芯のある奴」から
    「困った奴」に変わり、その後はどのようにして会社を辞めて頂くか頭を悩ませた。
     
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【ね】 値上がりの 治まってきた アパ−ト代

      3年前には外人の住めるアパ−トが少なく、アパ−ト捜しには皆苦労した。
     またそのころはアパ−ト代も毎年20〜50%値上がりし生活を多少圧迫した。
      しかし最近はマンション等がたくさんでき、高値安定であるが値上がりは
     治まっている。
    (追記:最近タイへ行ったら<97/8月>これを書いた頃とずいぶん変わっていた
     30階のマンションが50棟ほどある場所があったが、一部入居している所も
     あったが大部分が空きで、約半数の棟は工事も途中で止めていた。景気が上向き
     このマンションが満室になるのはかなり先と思われる)
     


【や】 役人の 駐車場には ベンツあり

      公務員は職業として安定しているが、給料は安いそうである。
     しかし安い給料にかかわらず役人の駐車場にはベンツ車がたくさんあるそうで
     ある。「タイも裏金とか汚職がなければよい国だが!」、とタイ語を習った時
     タイ人の先生が言っていた言葉印象に残っている。
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【け】 警察官 信じてよいやら 悪いやら

      新聞を見ていると、大きい事件が起きるとたいてい犯人の中に現役の
     警察官がいる。
     したがってこの国では警察官はよい人間だと思いこまない方がよいようだ。


【は】 バンコック 道路はみんな 駐車場


     米国、日本などの先進工業国が不況と言われてなか、タイ国は昨年及び今年
    も7〜8%の経済成長が見込まれている。経済成長につれ1人当りの所得は
    2000米ドルのレベルに近づきつつある。
     また、夫婦共稼ぎの家族が多く、月賦で自動車を買える層が増えている。
    したがって、車は年間35万台(新車レベル)ほど増えているが、道路整備は
    追いつかず交通渋滞は深刻な社会問題である。
    渋滞になると普段5〜10分の所が1時間以上かかることがある、それは道路を
    車が走っていると言うより、道路は車のびっしりつまった駐車場と思った方がよい。
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【へ】 ヘドロあり 川の魚は 気をつけよう


     これも公害の話であるが、バンコックの川は色々なものが流れこみ臭い。
    また、実際にあった話であるが、当社のMGがメッキ工場を調査に行ったら
    シアンはたれ流しだったそうで、それを見たMGは、それいらい川魚を食べ
    なくなった。
     私の場合は、タイ人が長年食べて病気になっていないから、日本人が食べても
    別に身体をこわすことはないと考え、どの川で採れたか分からないが新鮮な
    美味しい魚をよく食べている。
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【る】 ル−ルは厳しく 運用自在

     この国のテクノクラ−トはほとんどが海外留学済みであり、海外に明るい
    彼らの作った法律等の規則は先進工業国と同じか、それより厳しい法律が沢山
    あるようだ。
     ただし運用については「実用主義」または「現実主義」であり、特に政府関係
    では原則的には認めないが、実際に必要であれば暗黙の了解を与えるとのこと。
    (以下運用例)
     タイ国では女性の乳房を表現することは禁止されており、現に新聞や映画
    にそのような場面はない、しかし、パッポンに行くとトップレスやヌ−ドの
    飲み屋がたくさんあるが、店が法律違反で閉鎖された話はない。
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【ぬ】 ヌ−ドは ごはっと パッポン繁盛

     この意味は、【る】項の 「 ル−ルは厳しく 運用自在」で説明。
    ここではポッポンについて簡単に説明する。東京で繁華街といえば歌舞伎町が
    有名であるが、バンコックではパッポン通りがそれにあたる。シ−ロム通りと
    スリオン通りの間にあり、昼間は普通の道路だが夕方より車は交通止めとなり、
    その路上には100軒近い夜店がたちおみやげ品が売られる。
     ここでは、時計、ハンドバック、衣類等の世界の有名ブランド品は全て揃って
    おり、偽造品ではあることは気になるが買物を楽しむことが出来る。
   (偽造品は本人使用分は問題ないが、沢山買っていくと日本の関税をパスでき
    ないそうだ)
     また通りの両側には、ダイレクトで西欧人好みのヌ−ドショ−のバ−やトップ
    レスのバ−が沢山あり、夜は観光客で賑わっている。料金もビ−ル一杯60
    バ−ツ(約300円)程度と安ので、お客さんが来た時にバンコックの話の種に
    案内するのもよい。
    ただし法外の価格の店も沢山あるので、タイ生活の長い人に安全な店を教わっ
    ておくことが望ましい。
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【を】 笛を吹き 交通整理で なお渋滞

     こちらの交通整理の方法が変わっている件はどうも馴染めない。すなわち
    夜間や休日の信号はオ−トマチックであるが、普通の昼間は信号を警官が
    手操作し、ひどい時には10分ほど青にならない、また青で車は正常に走って
    いるのに警官は笛を吹き手招きしていることがよくある、なぜ一生懸命笛を
    吹いているか理解できない。
     ただでさえ渋滞しているのに、警官の判断が悪くいわゆる「おまわり渋滞」
    により車が動かない時はいっそうイライラする。
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